大彦が150年間守り続けてきたこと
■帰ってきて気づいた「設計事務所」と「大彦の家づくり」の違い
さて、工務店の息子がヨソで修行して帰ってきた。
こんな時に起こるのが 「帰ってきた跡継ぎvs古株の仁義なき戦い」や「設計事務所と工務店の家づくりの進めかたの違い、造るもののギャップによる深い挫折」なんでしょうが、大工さんに育てられた僕には必要のない争いを起こす意味も無く、そもそも元から「きちんと打合せをして、そのお施主様の暮らしに合わせてのオーダーメード的」な家づくりをしていた大彦スタイルが設計事務所さんの進め方とあまり変わらなかったので、ドラマチックな展開にはなりませんでした(笑)
ただ
「設計事務所での家づくり」と「大彦の家づくり」で少し違う所はありました。
それは「現場、大工・職人さん」との距離感!
もちろん設計事務所でも、大工さんや職人さんを大切にしている所もありますし、現場で教えてもらう事を大事にしている所もあります。(大多数は違うけど、ホンモノの設計事務所さんは大切に考えてくれています。)
が、だからと言って大工・職人さんの生活や仕事の段取りまでは知った事ではなく、それは立場上至極当然の事です。
また、あくまでも図面によって対価を得てるわけですから、やはりまずは設計事務所内でそれを考えてから、現場に。という順序をとります。
その一方、大彦にとっての大工さん・職人さんは《身内》なわけでして、より距離が近い。
大工さんや職人さんの段取り、気持ち、をより理解していますし、例えば設計段階の初めから、彼らの素晴らしい知恵を活かしたものができるのが「強み」なんですね。
突然、大工さんや職人さんを率いる立場となった事で(率いるどころか助けてもらってばかりですが)、色々なプレッシャーや苦しい事もありましたが、代々可愛がってもらっているお得意様を初めお客様に助けてもらい、ボチボチやってきております。
やはり、何よりの財産は「信用」だな。とつくづく感じました。皆様に可愛がって頂ける様に、真面目に仕事を続けてきてくれたご先祖様に感謝感謝、また感謝であります。
自分で設計し、自分の知ってる人達、「つくること」に誠実・真面目で良いものを造ろうと思ってる人達で造る。
ものづくりの人間からすれば理想的ですし、家づくりに携わる人間としては大変恵まれております。
設計事務所時代よりも、より密接にお客様と関わり、場合によっては他人が知りえないご家族の事(相当深い事)まで聞かせてもらいながら、お客様と一緒に、そして大工・職人さん達と一緒に家づくりしています。
お客様に教えてもらう事はたくさんあって、それが今は新しくどんどん自分の家づくりの力となっていっています。
工事中、大変厳しいお叱りを受けた事も何度かあります。
引き渡し後、2・3年で雨漏りを起こしてしまい、大変ご迷惑をおかけした事もあります。
ただ、新築やリフォームをさせて貰ってから、遊びに行けないお家は一軒もありません。
至極当然の事でありますが、実はなかなかそうは行かないのがこの世界。
なんて、それを自慢してる様では、まだまだですが、
世間でよく聞くお客様とのトラブルなどとは無縁で、お客様といい関係を築いて家づくりをする。という当たり前の事は出来ておるのではと思います。
- お引き渡しの時に、泣いて下さったお客様も何人かいらっしゃいます。
- 引き渡した後でも、色々うちの事を思ってアドバイス下さるお客様もいらっしゃいます。
- 自分の得には何もならないのに、親戚やお友達に真剣に勧めてくれ、一人で6軒も紹介して下さったお客様もいらっしゃいます。
- 僕に子どもが生まれたと聞いて、わざわざお祝いを届けてくれたお客様も何人もいらっしゃいます。
こういうお客様・お得意様がいらっしゃるのは完全に自慢です(笑)
格好つけた事言うようですが、やっぱり自分達が一生懸命造った家では「楽しく幸せに暮らしてほしい」というのが何よりの願いです。
だから、車で走っている時うちの家(お客様の家ですが)が近くにあれば、遠周りしてちらっと外から眺めたりもします。
そこで何か楽しく暮らしてくれている様子が見られれば、一番うれしい瞬間。
そして気が小さく慎重な男ですから、何か心配事があれば寝付けなくなります。だから心配事のある様な仕事もしたくないし、そんな家なら建てたくない。というのも本心。