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5.自社で大工を育てる意味

弊社の若い大工職人さんたちに「何故この仕事に?」と聞くと、こちらが思っている以上に『子供の頃大工さんを見て憧れて』とか『小さい頃からモノづくりが好きだったから』といった真剣な答えが返ってきます。

社員旅行などで著名な建築物を見学した際は、そこで輪が出来てつくり方などを論じています。また他業種のものづくり現場を見学した際も、ベテランから若手までみな食い入るように見ています。

会社に隣接している作業場で、夜遅くまでかかっても妥協せずに、けれど楽しそうに仕事をしている大工たちの姿を見ていると、「つくることが大好きな人たちの集まりなんだな」と実感できます。

もちろん、お客様にお家が出来上がった後に「ありがとう」と感謝いただけることは大変嬉しく、一番のやりがいです。その上で、純粋に「つくる」楽しさ・喜びを感じる仕事をさせていただきたいと思います。

全てが既製品の集合体で、現場では電動ドライバーなどでネジを止めるだけの現場組立員の仕事だけでは面白くない。確かに安価に済むかもしれないけれど、全く「大工職人の手」の介在しない家づくりはしたくないと思います。

皆が、一生懸命やりがいを持って、楽しく気の入った仕事をしてこそ、住まい手に永年愛着をもってお住まいいただけるお家になるのです。

良いものが分からないと良いものは造れない

大工さん職人さん達は、ものづくりが好きで一生懸命だからこそ、「井のなかの蛙」になりがち。けれどそれではほんまもんにはなれません。他人の凄さがわかってこそ自分も成長できます。

自分より高い場所にいる人が窓から見ている景色は、同じ目線にならない限り見えません。

その凄さは分からないのです。

『謙虚になれ』が昔からの大彦の教えです。一見大した事のないような所に凄い技術やアイデアがありますし、それを苦労の跡を見せずにさらっと仕上げている部分こそ素晴らしいのです。

建築は良いものを見て勉強するしかありません。

私も含め、一生勉強です。

良いお家をつくってお客様に喜んでもらう、笑顔をいただくのが一番。けれど、それに加えて、つくり手として純粋に高いレベルを目指したい、今日よりは明日、明日よりは明後日、よりよいものを造りたいという欲求こそが自らを高める原動力となります。

建築してから数十年経ち、自分たちが手掛けたお家がリフォームされる事があっても、その時代の大工さん達に「うわ~こんなこだわりがさらっと隠されていたのか、すごいな」と感心されるような仕事を、社員一同心がけています。

自社で大工を育てないと何も守れない

大彦で家を建てている棟梁や大工は、すべて「自社の社員」「腕利きの専属大工」です。

外注や下請けに任せる工務店がほとんどの現在、社員として大工を育成しているのは大変珍しく、同業者からもかなり驚かれます。

創業以来150年間「大工の店」にこだわっているのには理由があります。


・匠の後継者がいない(10代の大工は壊滅状態)

現在、日本全国の大工技能者は55歳以上が18万人です。ところが20代ではたったの3万人、10代に至っては何とわずか2000人しかいません。本格的な木の家の大工さんとなるともっと少なくなります…

これでは、いくら家づくりの注文をいただいたとしても、仕事をする(できる)人がいなくなってしまいます。

注文住宅は、ただ頭で考える人、プランを書く人、スペックを語る人、自社のこだわりに格好をつける人、計算する人だけでは建ちません。絶対に大工さんが必要なのです。


・メンテナンス、リフォームができない

大工ではなく、大八、大七(大工=大九と読み替えて、そのレベルに至っていないと揶揄する言葉)のような技術がない「現場組立員」ばかりになると、技術の結晶である古い日本の家は直せなくなってしまいます。直すというのは新たに造るよりも技術も経験もいるのはどの業種でも共通。腕と経験のある大工さんがいないと、ちょっとした直しも出来ずに建替えやり替えばかりになり、結果消費者が損をすることになってしまいます。


・災害時、家と街を誰が守る?

地震や台風の被害を見るにつけ、われわれ地域工務店の責任の重さを痛感しています。2018年秋、大阪・和歌山地方は甚大な台風被害を受けました。その修復に社員一同で走り回った経験で言うと、社員大工の居る弊社が屋根の応急処置や危険な部分の応急的な修復をどんどん終え、ほぼ1週間でほぼ全ての応急処置が終わったのに比べ、社内に大工さん職人さんの居ない世の中ほとんどのビルダー・工務店・メーカーさんなどが下請けの職人さんの取り合いをされ大変ご苦労されている姿を見て、社内に大工さんが居ることのありがたさを改めて思い知りました。

「家」は、人が暮らしていく上で必要な「衣食住」のひとつ。

その家のつくり手を育てることは、社会を支えるインフラでもありますね。

ちなみに大彦では、お引き渡し後の「1年、3年、5年、10年の定期点検」を大工さんが行なっています。

▲大彦の定期点検では、大工さんがくまなくチェックします

だから大彦は「社員」大工

創業以来150年以上ずっと大彦は「大工の店」です。他の工務店や大工のお父さんがご子息を修行させたり、昔は和歌山各地から大工修行に出てきた若者が材木屋さんや建材屋さんを通じて弊社の門を叩くことも多かったです。国交省支援の国家プロジェクトであった大工育成塾の受け入れ工務店でもありました。今も20代の「社員大工」4名が一生懸命仕事をしており、大ベテランから若手へと大彦の技が伝授されています。

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