大彦が150年間守り続けてきたこと
■家業を意識する
そんな僕が一体いつから家業である「家づくり」を継ぐ事を意識したのでしょうか?
そう考えてみても、、、いつか思い出せません。
おそらく、自然に…かな?
確かイタリアの有名な建築家がおっしゃってた言葉を借りれば、「サーカスの子供が何の違和感もなくサーカスをやる様に」、僕もそういうのに近いのかなと思います。
そんな意識のまま、普通科の和歌山県立桐蔭高校に入ります。
2年生となれば「文系・理系」の選択がありますから、家業を継ぎたいとは言え、やはり色々考えます。
祖父の言葉もあるから大工さんにはなれない。もありましたが、「あの暑い中・寒い中現場で必死に働く大工さんのマネは僕にはできないな~」というのが本音。(なんてグータラなんでしょうね。)
その頃うちはある建築家と工務店の団体に入った事もあり、日本でも有名な建築家の方にお会いさせてもらう機会があったり、仕事を雑誌などで拝見させてもらう機会が増えていきました。そうこうしてるうちに建築に対する憧れも大きくなり、この世界をもっと知りたいなぁと建築の道に進むことに決めた!!!
…と言えば聞こえはいいですが、ホントのところは恐いお父ちゃんに、
『本当に腕の良い大工さん職人さんについてきてもらうには、彼らがマネできない、そして負けた。と思わせるモノをもってなければいけない。エセではなく本物の設計を学ぶ道へ行け!』
との言葉がほとんどです(笑)
しかし、実際初めて《本物の建築家》のお家を拝見させてもらった時、「外からは小さく見えるのに、中はとても広々とのびやかしている空間」や、「明るく落ち着いた何とも心地よい空間」など、大工さんの町屋・数寄屋とはまた違った世界に感動した事も付け加えておきます。
この様に、うちの父は、工務店のおっちゃんなのに、建築が本当の意味で大好きで、色んな旅館・ホテル・料亭など連れて行ってくれた事も、今では大いに僕の血肉になっております。