防空壕が。。
ちょっと前の「古町屋どうする?」ってBlog投稿を覚えておられるでしょうか?(投稿のリンクはこちら)
詳しくは先のリンクをご覧いただくとして、簡単に言うと、曾祖父が建てさせていただいた弊社本社南隣の築90年オーバーのお家。そのお家をお客様から譲っていただいて、はてどうしようか?というところ。
実はこのお家東西に長く、どちらの方角も道路に面しております。東側(こちらが正面。一番上の写真は東面から)が、築90年オーバーですが、西面から1/3位は20年ほど前に建て替えられております。こちらの建て替えはお客様の奥様のご実家の工務店さんのお仕事です。
敷地利用を考え、その建て替えられたお家をまずは解体することにいたしました。
それにあたって、少し気になっていたのは地下室。昔の防空壕を直したものです。父やベテラン大工さんたちに聞いて存在は知っておりましたし、実際、譲っていただく前に拝見させてもらっておりましたから、それほど真剣には考えていなかったのですが、、、
こちらの写真を見ていただければ何となく地下があるのお分かりになります?
解体したコンクリートのガラとその上に載っているショベルカーがあるので、分かりにくいですが、防空壕はこの下まで広がっています。
そうなんです。全然思っていた広さと違うのです!見せてもらったのは6帖弱の大きさの地下室。けれど、壊していくと広がる広がる、20帖ほどあるのではないでしょうか。これには呆然。上に建物を建てる予定はないので、まだ良いのですが、「ひいおじいちゃん、まいりましたよ~」というのがホントのところ。
《まぁ、曾祖父からしますとそんなこと言われる筋合いはないわけで、大変厳しい人だったそうですから、ひ孫がそんなこと言ってるとなったら、滅茶苦茶叱られますね》
建て替える前の建物も当然曾祖父の仕事ですから、下の防空壕を造ったのも曾祖父。建て替える際、業者さんは上の建物を壊したら、下に大きな防空壕が出てきて”はた”と困ったのでしょう。壊すのも大変だから、その上に厚いコンクリートを打って、その上に建物を建てたんだと思います。
この断面みるとよくわかりますが、レンガの上にコンクリート打ってるあとがあるでしょ。この構造で一面に広がっていたわけ。
ん?と思った方、素晴らしい。そうです。そうなんです。レンガなんです。ここでびっくりする人(建築業界人)は多いと思います。今コンクリートで造っていたって難しい地下の防水。それを防水性の劣るレンガで、90年以上一切漏らしていない。(すぐ近くが川ですしね)さらには、耐震性も劣るレンガでしっかりと90年以上もたせている。
手前味噌ですが、これは本当に凄いことです。
はて、ここで思い出したのが、先日出張でお邪魔した【日比谷オクロジ】
コチラは弊社情報誌の「つくり手」最新号に書かせてもらいましたが、昨年オープンのJRの高架下のリノベーション。
こちらの橋脚もレンガ!築100年とのことです。もちろんこちらはアーチ形状ですし、補強もされているとは思いますが、まだこの上をあの山手線がバンバン一日に数えきれないくらい走っているわけです。
数字や計算に基づいたことは全くその通りですし、滅茶苦茶大切ですが、それと同じくそれ以上に、いやそれより以前に施工の現場、職人さんの大切さということを、「ものづくり」に携わる我々にまざまざと見せつけてくれています。
確かに、解体とその後の処理は大変になったわけですが、そんなことより、「つくり手」として忘れてはいけない、とても大切なことを示してくれるために、出てきてくれたのかもしれませんね。
一生懸命頑張ります。
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