リノベ・リフォーム施工事例

築160年の古民家リノベ【和歌山市】2018

和歌山市加納の大変由緒ある立派な古民家の改修工事をさせていただきました。「稲むらの火」で有名な安政南海地震のあった1854年に棟上げをした築160年を越える古民家です。

▲立派なお庭を眺められるように広間を配置し窓の位置に注意しました

ご実家を離れておられたお施主様がご兄弟で力を合せられ、ご親族皆が愛情をもつ今のお家を守るとともに、また新しく皆のお住まいとして永く活用していくために思い切ってリノベーションをされました。


昔のお家はやはり材料も大工さんの仕事も良く素晴らしいです。特にこのお家は160年前に建てられ、長い間ご家族の暮らしを支えてきたお家ですから、非常に勉強になる所がたくさんあり、しっかりと建てられた木の家の本当の強さ・耐久性を改めて感じさせてくれました。

▲力強い構造がそのまま美しいデザインになる。建築の理想。古民家は凄いですね

しかし、途中のリフォームも含めて【奥まった暗いキッチン・ダイニング、一番良い場所にありとても広い応接間、増築を重ねたことによる光の届かない部屋】などの間取りの問題、元々の素晴らしい左官壁や無垢の梁などの上から張られたクロスやベニヤのデザインの問題、断熱や構造の問題など、ご趣味や今の暮らしと合わない事が多々出てきておりました。

▲和室のガラス戸も素晴らしい。綺麗に直して再利用

設計デザインは、基本は昔のお家に戻しながら【使いやすく・動きやすく・明るく広々・美しく】を加味して「ここちよく」する事。断熱は、新たに高性能の断熱材を施工して凍える寒さを解消。構造は、途中のリフォームで改悪された部分・腐っている部分の交換修復も含めて、伝統構法のお家の良さを残しながら最新の耐震制震施工を施しました。

▲鉄筋コンクリートの離れを解体し、木の門と塀を新しく。お庭も明るくなりました

古民家によくある事で、構造自体はしっかりとしているのですが、あらゆる所の水平垂直が歪んでいて、それを直し調整しながら改良を施していく工事は、大工さん職人さんにとって非常に難しい工事でありました。棟梁初め弊社の大工さん職人さん達も随分と頭を悩ました部分も多かったですが、皆の頑張りと技術で、無事完成することができました。

▲立派な母屋。隅々まで点検し外観も修復したことで、私達も大変勉強になりました

また設計的にも【黒い柱・梁、高い天井、開放的な大きな間取り】古民家の良い所を復活させるとともに、南側の3連大木製窓や板張りの浴室、玄関の式台と天井、木製門など、伝統的な和とモダンなデザインをまとめていく作業は大変でしたが、設計施工ともに仕事に没頭し、非常に楽しく、そしてとても良い経験をさせていただきました。今思うと、色々頭を悩ませたつもりですが、結局、元々このお家がもっている魅力を引き出す事が全てであって、このお家に自然と導いていただいたような気がします。

▲古民家で注意が必要なのが低い梁の位置。キッチンを上手く交わす様に考えました

160年経っても、住まい手が直して住みたいと思わせるこちらのお家とご先祖様に深い尊敬の念をもつとともに、住まい手にこのように思っていいただけるお家をつくってこそ、つくり手として本当だと強く感じた家づくりでした。
長期間に渡った工事中、大工職人設計とも非常に可愛がっていただきましてありがとうございました。これからも末永くよろしくお願い申し上げます。

▲位置から変えた玄関。こちらも梁を見せて広間空間と雰囲気の統一を

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