リノベ・リフォーム施工事例

リノベーションは楽しい【紀の川市】2021年

紀の川市貴志川の役所近く、古くからある街中にある築50年の立派な日本家屋。ご両親もお年を召してきたとのことで帰ってこられたご夫婦のためのリノベーションです。お帰りになられるまでのマンション暮らしで体調を崩されたりして「昔ながらの木の家なら体調も良くなるのでは?」などと切実な理由もあられたとは後でお聞きしましたが、そういうことは微塵も感じさせない、いつも明るく前向きで、色々なアイデアを楽しそうにご提案いただいた事が印象に残っています。

それは、奥様が以前リフォーム会社にお勤めで、家づくりのことをよく知っておられたというのもあるかもしれませんが、色々なご提案をいただく打合せは、新しい発見もあって、常に楽しいものでした。

▲以前のリビングダイニング。暗さと寒さが問題でした

▲北側を大きな一間空間とし、北側窓より明るさを取り込みました

まず大きなご要望として、南側を続きの和室が占めているため、長い時間を過ごすリビングやダイニング、キッチンに陽がささず、暗く寒く狭くなっていることの解消でした。南側の立派な二間続きの和室は、仏事などもありますし風情も素晴らしいですからそのままにし、北側に大きなリビングダイニング空間を設け、北側の外が比較的抜けていたため、思い切って大きな窓を設けて、光を取り込みました。写真をご覧になっていただいても十分な明るさをとれている事がお分かりいただけると思います。「北側は暗いから無理」と思い込みがちですが、外の環境と上手く考え合わせれば、十分明るさを取り込むことはできますし、北特有の柔らかい日差しと上品な明るさを得ることができます。

▲ナナメにせり上がる天井は平屋建ての特権。天井板は吉野杉板の美しい無垢板

また、天井も思い切って勾配(ななめ)天井として、平屋のポテンシャルを活かした大空間にいたしました。以前とは全く違う広々とした空間が生まれたわけですが、これも初めの大工さんが大きな梁などの優れた材料を使い、丁寧な仕事をしていてくれていたおかげです。

▲畳に直に座る所は落ち着き重視で

さらに、屋根の関係から一部天井をナナメに高く出来ない部分は、逆に天井を低く抑えリビングダイニングとつながるタタミコーナーとし、畳に直に座るスペースの落ち着きを生み出せるようにいたしました。そしてこの正面のうねる木の壁はお客様のこだわり。夜にこの壁に光があたった際の表情が凄く良いそうで、その前で座り、音楽を聴いたり、お酒を飲んだり、とても豊かな時間を過ごせているとのことです。

▲お客様のこだわり「うねる」板壁。光が当たるとより美しい

他にもお客様のこだわりはつまっています。リビングと和室の組子細工の建具。お客様が調べ工房まで出かけて探してきた組子職人さんの手によるもので、空間を効果的に引き締めてくれています。私も工房を見学させていただき大変勉強になりました。

▲ダイニングと和室を仕切る建具に格子と組子デザインの建具を
▲和室の組子細工のふすま

洗面やトイレの洗面ボウルやタイルも奥様のこだわり。お好みのイメージを見せていただき、それを実現できるように打合せを繰り返して造りこんでいきました。

▲人工大理石一体型ボウルと木の造り付け洗面カウンター。タイルはお客様のお気に入り
▲トイレ。手洗いのカウンターの形はお客様のアイデア

さらに、玄関に新たに造った造り付けの下足入れの網代張りの扉や、利便性から玄関とは別に造った勝手口が違和感なく昔の建物になじんでいる所などもご覧いただきたい所です。

▲玄関造り付けの下足入れ。伝統的な職人技の網代建具が見所
▲新しく設けた勝手口からリビング方向を。外壁との取り合いなど以前からこのような姿であったと思ってもらえるのがリノベーションでいつも目指している所です

このように色々なアイデアやご提案をいただきましたが、決して無理強いなどではなく、こちらの設計や大工職人からの視点・考えを尊重いただいて、とても上手く現場は進みました。大工さんや職人さんはさらに可愛がっていただき、弊社の若い大工さんなどはまるで我が子のように。いつも弊社はお客様に恵まれ、本当に感謝感謝であります。新しい気づきや知識も頂戴した大変ありがたいお仕事でありました。Y様今後とも何卒宜しくお願いいたします。

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