小さなお庭に開く23坪のお家【和歌山市】2016年
「実家の敷地の空いたスペース(菜園)に家が建つだろうか?」
とご相談いただき、敷地を拝見してから初めての設計図を提出するまで、正直随分と悩みました。実質的に家が建つ空地は30坪もなかったと思います。
そこに車2台のスペースを確保し、ご実家との間にそれなりに生活動線としての通路も確保する必要もある。ある程度の影響は致し方ないとしても、隣に建つ平屋のご実家のくつろぐスペースの陽当りや通風を大きく損なうことはしたくないですし、だからといって庭や外との関係性を考えず敷地一杯に建つ「閉じた暮らし」は、Y様のご希望のくらしではありません。
「小さくても良いから光や風を引込み、縁を眺めてほっとできるお庭を造ろう!」
「そしてそこにくつろぐリビングやダイニングを面させよう!」
ということを中心に据え、各部屋がまとまっていった延床面積23坪のお家です。玄関や洗面は確かに少し狭いかもしれませんし、1階の和室もありませんが、細部をきっちりと打合せし、工夫を重ねて作り上げていますから、決してせせこましい空間ではありません。
また、リビング・ダイニングで、デッキと庭をL字に挟んだことにより、木製窓を開け放つとデッキと外もお家内部とつながり、とても気持ちのよい落ち着いた空間が出来ました。完成見学会で多くの方が「とても23坪とは思えない!!」とおっしゃっていたのが、それを証明していると思います。
床面積の小さなお家を狭く見せないために一番必要なのは、お客様の思い切りとご理解です。その点Y様は、全幅のご信頼をよせていただき、また常識にとらわれず「感覚」で色々と思い切りよくご判断いただき、それは最初から最後まで見事で素晴らしくありました。
最後にY様はもちろん、ご実家のお母様にも工事中本当に可愛がっていただきましたことを感謝申し上げます。本当にありがとうございました。