ほんまもんの家【富田林市】2013年
「むくらせた」(=微妙にカーブさせた)一文字葺きの日本瓦の屋根と掻き落としの外壁。
内部壁の本漆喰塗り、天井の名塩和紙、幅広の国産栗の無垢床板、そして各所の造付け家具や床の間に用いられた素晴らしい無垢板や高野槙の木浴槽&十和田石&ひば板。
風情ある本物の材料を使う事は常に心がけておりますが、このお家では更にまた一つ趣のある素晴らしい材を多く使わせていただきました。
また、玄関の洗い出し土間や煤竹の手すり、和室や書斎の凝った天井など、大工職人仕事としても難易度の高い手間のかかる仕事がたくさんありました。
絵画を初め芸術・文化などに造詣が深く大変目の肥えておられるN様のお眼鏡にかなうように、「ほんまもんの材料と仕事」を常に念頭におき仕事をさせていただいたお家でした。
やはり大工職人仕事は教科書で見てどうこうするものではなく、実際仕事をしてナンボのものです。N様には思い切り良く気持ちよく、色々な難しい仕事に(最近久々にするような難易度の高い仕事もありました)挑戦させていただき、弊社の大工技術の継承にもつながり、本当に感謝申し上げております。
N様との打合せはこういう建築の話や芸術的な色々なお話を教えてもらえるだけではなく(和紙の手透きの人間国宝の方にお会いさせてもらう機会があったり!)人としての生き方や人生の話もたくさん聞かせて頂き、本当に素晴らしい勉強をさせていただきました。奥様には僕もうちの大工さん職人さんも大変可愛がっていただき感謝感謝でございます。(いつも打合せで淹れていただけるコーヒーがホント美味しかったです。)
内部空間や外観デザインは色々語るよりも、写真をご覧になっていただければと思います。N様そのものの様に優しく心地良く、気品が漂っておるように思いますが、何よりもN様ご本人に聞いた、遊びに来られたご友人の皆様方が「心地よくてなかなか帰らない」という事が、全てを物語っておるのではないかと思います。