街中で郊外の様にゆったりと暮らす【和歌山市】2024年

和歌山市一の商店街もあり、かつては大いに栄えた和歌山市有数の商業地本町の一画にて、40代ご夫婦とお子様2人がゆったりと暮らすための48坪のお住まいです。
ずっと昔からこちらの場所にお住まいのお客様ご一族。倉庫やビルの合間にあったおじい様のお家を建て替えさせていただきました。ただ、過去の隣地倉庫の増築で間口が狭くなっていたため、その倉庫の一部を切り離して解体したり、和歌山市中心部の商業地のため東京都心部なみの最難関の防火制限のクリアが必要だったりと、難易度の高い設計施工でありました。

子どもの頃から今まで街中の鉄筋コンクリートのお家やマンションにお住まいであったK様。そのことも関係するのかアウトドアのキャンプがとてもお好きなお客様です。一番のご要望は、木の匂いや雰囲気を感じ、ゆったりと静かに暮らしたいということ。

けれど、対照的に自然豊かな郊外の大きな日本家屋で育たれた奥様は、和が強すぎるのは好みではなく、もっとモダンな感じとのこと。初め拝見させていただいたお気に入りの内部写真を見せていただいて、それはよく分かりました。

さらには、隣地のお父様お母様のお家とのつながり(つながりすぎも)を考えるとのこと。 あとは、ご夫婦の趣味や好みを何度も打合せを繰り返し、慎重に反映していきました。


とても交通量の多い前面道路には窓も設けず、玄関も奥まらせた中庭的なポーチから入るようにしています。これによって道路からの玄関の出入りを隠すとともに、外部の喧騒をシャットアウトすることに努めています。



玄関を入り、ホールを進むとすぐに和室があります。玄関ホールにはお隣のご両親のお家とつながる窓を設けていますので、そこから入ってお父様もお母様もお使いになることのできる、共用の空間です。


玄関ホールの奥が洗面もあるホール。ここからがこちらの世帯専用となります。人工大理石一体型カウンターと木とタイルで造られた広い洗面カウンターは帰ってきてリビングに入る前に手洗いができるように。こちらのホールからはトイレと脱衣室、2階への階段、そしてリビングへとつながります。



このように、和室、ホール、水回りでクッションをおいてから、リビングダイニングを配しています。間口は狭いですが、奥行きはかなりある地面で広く恵まれているため、その奥まった所に庭をとり、ダイニングやキッチンを面させ、大きなデッキでつなぎました。リビングやダイニングは道路よりかなり奥になるため、商業地の喧騒を全く感じさせない落ち着いた空間となりました。



キッチンには大きな造り付けのカウンター収納があります。キッチンの物はもちろん、リビングダイニングの細々したものも十二分に収納できるお家の中心となる収納です。

キッチンからは先ほどの脱衣室にダイレクトにつながり、そこでの洗濯、そして、洗面のあるホールには室内干しできるようにもしていますので、家事動線が短く便利になるように考えています。

防火規制を初め大変厳しい法規制がかかっている地域であり、また周囲の建物の難しい解体などもあり、設計段階から完成まで随分と長い期間がかかってしまいました。K様ご夫妻も首を長くしてお待ちいただいたことと思います。ただ、そんな事はおくびにも出さず、毎回の打合せでも本当に温かいお心遣いをいただきました。誠にありがとうございます。また、解体の騒音など随分とご迷惑をおかけしたお父様お母様にも、坂本君や弊社の大工さんを初め現場の者、皆が大変よくしていただき、心より感謝申し上げます。
和歌山市の本町という由緒正しい街に長くお住まいになっているK様ご一統様のお力添えがなければ完遂しなかった工事であると思います。K様のご先祖様にもご満足いただけれれば、そして、和歌山市の中心街をよくする風景がつくれていればとても嬉しく思います。 K様、今後とも末永くよろしくお願い申し上げます。

