1.ここちよい木の家(木の生活に還る家)
木の家の魅力
私たちは木が大好きです。木の種類によって表情も色も硬さもしなやかさも違う。同じ種類の木でも育った場所や林産地の手入れの仕方で個性と特性が変わる。同じ顔、同じ性格の人間が二人といないように、木も同じものに出会えることは絶対にありません。
だからこそそこには一期一会の出逢いがあり、その出逢いを活かす設計力と技術力が必要になってきます。
- 天然の木が持つ、世界にひとつだけの美しい杢目
- 太古の昔から人の記憶に刻まれてきた心安らぐ香り
- 人の肌感覚と調和するやさしい手触り、足触り
- 家に入った瞬間に心が落ち着くぬくもり
- そして、夏のジメジメ、冬のカサカサを調整してくれる天然の調湿性
便利で効率的、そしてドライな世の中になればなるほど、天然の木が持つ「無条件のやさしさ」に癒やされたくなるのかもしれません。
私たちは、木の生活に還りたくなるここちよい木の家をこれからも建て続けます。
「粋」な木の家
ひとくちに「木の家」と言ってもいろいろな種類があります。
構造躯体にだけに木を使う家。工業加工品の木を使う家。本格和風。洋風。ログハウス。現代和風などなど…。
それぞれ適正があるので、どれが良い、悪いという訳ではありませんが、私たちは「最も美しい木の家=木が主張しすぎない家」だと考えています。
家の主人公はあくまでそこで暮らす人であり、木はその暮らしを彩る引き立て役。
だから、線が太くてゴテゴテした本格和風住宅や、技術力や財力を見せつける豪華建築、ログハウスのような木が前面に出てしまう「うるさい」木の家よりも、シンプルで洗練された【粋(いき)】な木の家が好きなのです。
日本建築における「粋(いき)」
粋(いき)とは洗練された美しさのこと。
技術と経験が詰まった仕事をしても、その仕事をうまく隠して見せつけない。さらっと簡単に何気なく納まっているのが一番の仕事だと思っています。
例えば、建築物における線。
ヨーロッパではモールディングに代表されるように、できるだけ線を多く、太く、複雑にすることで豪華さをアピールする「足し算」の美学がありますが、自然との共存を図る日本の建築物の場合は逆に「引き算」の方が粋に見えます。
線を細く見せる工夫、線をできるだけ少なくする工夫をしながら、物足りなさを感じさせないように厳しいプロポーション・バランスにひと手間を加えると、すっきりしつつも美しく感じられるようになります。
また、陰影の美しさも「粋」の重要な要素。
ただ明るいだけではその明るさが当たり前になってしまいます。
暗いトンネルから出た時にその明るさが際立つのと同じで、あえて家の中に「陰」を作ることで、外からの光の恵みを最大限に享受することができます。
この陰影は、軒の出を深くすることで家の中から外の庭を見た時の視覚効果にも大きな影響を与えますし、障子の影の美しさにも現れます。
自然と共棲できる贅沢 ・木の声を聴く(適材適所)
忙しい日常の合い間にほっとひと息をつく時や、仕事から疲れて帰宅した時、またゆっくりしたい休日の朝など、安らぎや落ち着き、ふとした幸せを感じさせてくれるのは、木や自然の美しさではないでしょうか。
ソファに座っている時に感じられる家全体の木のぬくもりと美しさ、角度によってほんのりと映える左官壁の陰影、リビングから見える柔らかい庭の緑、障子を通して入るやさしい光、日向ぼっこの暖かい太陽、肌を撫でるようにすーっと吹き抜ける風、遠景の山々やお庭の緑などなど。
自然と自然素材の「美しさ・ここちよさ」は、四季の移ろいや、経年しても飽きのこない風情を感じさせてくれます。
何気ない日常に潤いを与えられるように、木のくせ(将来の変形や曲がり)などを読み、木の特性を活かして適材適所でさりげなく使う大工の技と経験。さらには周りの自然と反発するのではなく、うまく採り入れて共棲できる間取りや開口部デザインの工夫。 現代の生活に自然の恵みをほどよくミックスさせる家づくりが、私たちの理想です。