セドリックさん?(社員大工、手刻み、墨付け、手刻み大工、日本で働きたい海外の大工さん)

今週の火曜日、突然加太(かだ。和歌山市の観光地)の民宿の方からお電話が。「今滞在されていてるフランスの方が日本の建築・大工さんに興味があるそうで…」と。
親切に調べてあげる民宿の方も良い人だなと思ったこともあって、とりあえず会社に行ってよいか?と聞かれたので、「いいですよ」ってお返事。
1時間後、お越しになったのは、クマの様に大きなセドリックさん。42歳でフランスで大工さんをなさっているとのこと。日本文化とアニメが昔から好きで、今回、住んだり働いたり、つまり移住できるか?を確認しにお越しになったそうです。
そうそう。セドリックさんは生粋のフランス人なので、英語がほとんど分かりません(なんか昔テレビでフランスの方はプライド高いから英語は話さない!なんて見た事あったような…)
もちろん日本語も。。つまりあいさつ程度の日本語とスマホアプリが会話の頼り。(なんて、もし、セドリックさんが英語話せても、私がカタコト程度なんであんまり変わりませんが)
だから私の理解にも間違いは結構あるかもですが、しかし、スマホは便利!!何とかなりましたからねぇ。
30分ほど会話?をしてから、隣のリノベーションショールームをご覧いただくことに。

16歳で地元で大工の世界に入ったけれど、日本の様に精緻な木工技術はフランス大工界にはないそうで、「こういう事をやってみたい!こんな仕事がしたい!!」とセドリックさん大興奮。
日本の建築が好きで好きでたまらんというのがヒシヒシと伝わってきます。そして、やっぱり興味を示す細かなところは、大工さん。
1時間弱見学して、この翌日水曜日が岩出市で棟上げがあるので「見学します?」と聞くと、「是非是非是非是非!」と。
お客様にご了解とったうえで、では翌日、8時30分に会社に来てくださいと伝えて、その日は終了。
「今日は滅茶苦茶寒いけど、ホントに来るのかな?」なんて思っておりましたら、
来ましたよ!15分も早く!!

水曜日は雪もまって、凍えるような一日。朝9時前に現場へ連れて行って(彼はレンタカーで着いてきました)、私が設計の幸前君と「もう帰ってるかもな」なんて話しながら、現場へ着いたのは15時前。
居ましたよ!バッチリ。
写真を撮りながら、一生懸命見ています。

休憩中はうちの大工さんたちの輪の中に入って、温かいコーヒーもらいながら。
到着した私に興奮しながら
「日本の大工さんは凄い!手刻みの技術、木組みの技術、棟上げは凄い!!皆が自分で考えながらしかし一体にまとまって作業してるのが凄い!!!」と感想をドシドシと。
やはり大工さんですから、おっしゃっていることはよく分かっていて、見ているポイントも流石です。
樹種や木組み方法など質問もたくさんいただきながらも、「フランスの現場なら、この作業をできないし、仮にできたとしても5倍は時間がかかる。そもそも無垢の木を扱う大工さんが居ない」とか、「現場がこんなに綺麗なのはアメージング」だとか、またまた褒めてもらいまくりました。
最後に、「16歳で大工になったけど、こういう事をずっとやりたかったんだ。自分を見習い大工として…」などと熱いお気持ちもいただきました。
今、海外の方で日本の大工さんに憧れて、日本に来ている話をチラホラと聞きます。(昨日参加した手刻みの会でも若い海外出身の大工さん居ました)
そして、私は設計をしているわけだけど、日本の住宅設計もとてもレベルは高いけど、フランスの建築家の方にここまで褒めてもらえるだろうか?そう考えると、日本の大工さんは、そしてうちの大工さんたちは私が思っている以上に凄いんだな。と誇らしく感じ、とても嬉しかったです。
突然だけど、現場の大工さんたちも快く迎えてくれたし、何よりお客様の寛大なお心のおかげで、こういうことが実現したのだけど、何かとてもよい時間でありました。
そうそう、凍える中、セドリックさんは夕方作業終わりまで居て元気よく帰っていきました。更に、翌日も現場へきて、昨日のお礼ってことでお菓子もってきてくれたそうですよ。

いい人ですねぇ。
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