お茶室奮闘中。(お茶室、和室にお茶室、水屋、お茶室の釘)
今日はこちらのお家から。
紀の川市のA様家。本格的なお茶室の和室があるこちらのお家。大工さんも奮闘中。このような伝統的な天井となれば、もうこれは大工さんの腕に頼らなければなりません。《ですが、天井の上にシート見えてますでしょ。これ気密シート。お茶室などの伝統的な納まりとは非常に相性が悪いですが、何とか工夫して》
いくら図面書いても最終的には大工さんの腕なのですよ。ほんとに。
こちらはタタミに切る「炉=ろ」
先にタタミ屋さんが寸法をだしてくれて、そこに慎重に大工さんが炉を設置していきます。そしてその中心の寸法を出して何を打合せしているかというと、
天井に吊るこの釘(釜蛭釘)の位置を先ほどの炉と合わせなきゃいけないから。さらにその合わす位置も釘の中心ではないのですよ。
左上になにげなくついていますが、実は向きにもルールがありますし、なかなか大変。(そうそう天井張る前に下地いれて、張る時に付けないと後から付けれない場合ありますから、ご注意を)
ただこういう事は、本を読むだけでは足らなくて、要は経験でございます。今回もお客様にたくさん教えていただきましたし、お客様を通じてお茶の先生にもお教えいただいているわけであります。そうなれば、やっぱりこういうお仕事をさせていただいて設計は知識と知恵を、そしてもっと大切なこんな言葉では表せない「大工さんの経験」がつくわけで、本当にありがたいことです。
前回もお伝えしましたが、こちらには26歳の弊社の若手大工さんが墨付けをして、担当させていただいております。ここにベテランの大工さんがついてくれていて、このお茶室を仕上げているのもそのベテラン大工さんですが、それを現場で見ている手伝っている若手に技術や経験はつながるわけでございます。今や20代30代でこういう仕事を知っている大工さんなんで、全国でもそんなにたくさん居ないはずですから、ありがたい限りです。
床の間の脇の床(琵琶床)の天井は、網代張り、そしてそこにも釘が。
こちらはお茶室の水屋。先ほどの床まわりやこういう所にもルールがたくさんあって、私、久しぶりに随分勉強したなぁと。そして図面も一杯書いて、大工さんとも現場でたくさん打合せしました。設計事務所の修業時代みたいでした。
天井も張り終わって、床の間の形もわかるようになってきてますね。ただここでご注目いただきたいのが、正面左上のガラリと、右下の開口部。
ここは、全館暖冷房のための吹き出し口たち。こういうのもお茶室など伝統的な和室とは非常に相性が悪くて、上手く折り合いをつけるのに一苦労。今までの和の素晴らしい建築家や棟梁などの手法を真似て、アレンジして解決しているわけですが、こういう時にでてくるのは、修業時代から今まで積み上げてきた知識や記憶。
設計事務所時代、なかなかよいアイデアが出ずに、深夜、事務所で一人ブツブツ文句を言いながら、事務所中の本を引っ張り出して、「あーでもない・こーでもない」と唸っていたことや、
子どもが小さい頃からあまり遊びにも連れていかないくせに、たまに連れていくときも、建物や美術館などを見に行き、家族に怒られていたことが
効いてくるのでありますよ。
現場は最大の難所お茶室和室をほぼ抜けて、こんな素敵な一枚板を使う造り付け家具工事へと進んでいっております。
またまた進捗はお知らせいたしていきますので、お楽しみに。
それでは皆様良い週末を。
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