野上のブログ

雨のみち。~情報誌「つくり手」より~(雨樋、雨落ち、雨樋なし)

今日は久しぶりに弊社の情報誌「つくり手」より。これは6年前(2017年)の丁度今頃発行した14号の記事。今の時期とも合います雨樋のお話です。


今号のつくり手では、展示場の雨樋の事を触れているので、こちらでも。降水量が世界の中でも非常に多い日本、しかも梅雨や台風までもあるとなれば「雨」を考えずに家が成り立つことはありえません。基本は屋根を大きくとって外壁や窓を雨より守るとともに、屋根で受けた雨水を上手く処理することを考えます。とくれば、そう「雨樋」。

基本は上写真のように屋根先に雨を受ける雨樋をつけます。そしてそれで十二分です。

けれど、上の美術館のような建物の屋根先をよく見ると、「雨樋」がついていません。外から見ても内から見ても、屋根先を軽やかにすっきり見せた方が美しく、設計やデザインをするものからは、雨樋はなかなか邪魔な存在なのです。

しかし、毎日&ずっとお住いになるお家は美術館のようにはいきません。そこで出てくるのが下の方法。実は上の写真の手法と同じですが、屋根先には雨樋をかけずに、屋根を伝ってきた雨水が石の上に落ちるようにしています。(土に落ちると泥跳ねをしますから)まさしく、「雨の道」を考えるやり方です。

こういう手法は京都や奈良のお寺などに行くとよく見ることができます。ずっと昔から雨の道を考えて解決してきた手法を私達も引き継いでいっているわけですね。

お寺などでもこのように雨水を落ちる所に石を入れています。よく見る手法です。

ただし、このやり方は大きな屋根の場合は注意が必要ですし(落ちてくる雨の量が多いから)、掃除などの問題もありますから、やはりまずの基本は「雨樋をつける」です。ただ、雨の落ちる様子や音もなかなか素敵で「雨を楽しむ!」なんて贅沢のできる手法ですね。

雨の日は是非とも紀泉台モデルハウスで体感してくださいね。


はい。というわけでした。

ただ、昨今被害のでている「線状降水帯」などではこれではつらいかもしれませんし(というか、もうそもそも雨樋が約に立たないでしょうが)、時代に即して考えていく必要はありますが、「雨を楽しむ」というのも、昔から自然を愛でるのが上手い日本人の楽しみ方の一つであります。

色々なことに追い立てられている現代生活で、雨の降るのをじっくり楽しむ時間をつくる位のことは、心の安定・休息のためにも大切かもしれませんね。

今週末はI様の棟上げ。ここは雨を楽しむではなく、雨にはちょっとご遠慮いただきますようお願いいたします。

ではまた来週もよろしくお願い申し上げます。


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