野上のブログ

杉板外壁!大工さんからの助言(杉板張り、目板押さえ、外壁板張り)

ちょっと昨日の投稿ともつながりますが、今、桐蔭高校近くのT様家は外壁の杉板を張っております。こちらのお家はいつもの外壁杉板とはちょっと違って、「目板押さえ」と言って縦のリブを打っていくやり方。

こんな木材(目板)を

板と板の横方向(幅方向)のジョイントの所に打っております。

理由は様々あるのだけれど、

大きな一つは、こちらのお家は敷地の関係からほぼ総2階の建物になりますから、全体を「ベタっと・のっぺり」させないために、目板のリブを入れたかったわけ。

このように壁に細かな凸凹がつくから陰影もできて美しいし、総二階で気をつけないとでちゃう「のっぺり感」をなんとかしたかったから。(外観に「影をつける!」これは、かなり大切なことなんで、また後日)

もう一つは、お客様のお好みに合うなと思ったから。当たり前ですがこれはめちゃ大事。


ただですね、2階まで全部杉板ということは、高い(長い)所では7m位の杉板が必要になってきます。これを一枚で張るのは現実的ではないから、自然と縦(高さ)方向で、ジョイントが必要になってくるわけです。

《ほら。この通り。丁度1階と2階の間位で板が継がれているでしょ。》

ただ、このジョイント。できるだけ目立たなくさせたいのが設計デザインであることは皆様にも想像つくと思います。(世の中にあるこの外壁画像をググってみても、ほぼジョイント部には何もいれていないですからね。)

だから、初めは何も入れるつもりはなかったわけです。正直。板と板とのジョイント部をナナメにして水は排出できる位のことは大工さんと考えておりましたが。

しかし、弊社の作業場でこの外壁の杉板を拵えていた尾崎棟梁より、ストップが。

「ジョイントから雨入るで。永年考えたらやっぱり水切はいるで」と。

水切というのは、外壁の裏側にまわす金属の板のことで、壁などのスキマから雨が入っても(強風時の吹き降りの際は下から上に雨があがりますから)裏の金属板で雨を撥ね返す納まり。屋根と外壁の接合部などはいれるのが防水納まりとしては鉄則です。

《板の上に黒いもの見えますでしょ。これが水切》

でもね。ジョイントは出来るだけ目立たなくしたいのです。そして、板と板の継ぎ目はナナメにカットして雨を入りにくくしてるし、仮に入っても、外壁の下から排出されて、室内には入らない様に2重3重で考えています。

おそらく、他のつくり手さんも、この辺で折り合いをつけているはずです。

《先ほども申し上げましたがweb上にある他社さんの画像をみても、水切が入っている物はないし、だからといって何の工夫もしないなんてことはないはず。そもそも、「目板押さえ外壁」なんて事やるつくり手さんは、デザインにも施工にも絶対的にこだわっているはずですからね》

そんな話をすると、すぐに出てきたのがこちら。

板と板の縦方向のジョイントの裏に水切はいれるけど、極端に目立たなくした納まりサンプル。しかも、ご丁寧に水切の色が黒とシルバーまで用意されています。

はい。そうなんです。

私や設計担当に言われるまでもなく、もうすでにそんな事は重々考えておるわけですよ。棟梁は。

凄いでしょ。(プロの皆様はこの凄さ分かってくれると思います)大工さんがこんなデザインの高次元の所まで考えてくれているのが、やっぱり弊社の強烈な強みであります。

もちろん、大ベテランの尾崎棟梁だけじゃなく、うちの大工さんたちは皆それぞれ「こうした方が良い」という提案はドシドシくれますよ。

そして、実際ジョイント水切を入れて張り上がったのがこちら。

そりゃ、何も入っていないよりは目立ちますが、最低限の存在感ですし、それによって、ジョイント部の防水性がぐぐっと上がりますから、これはかなり良い納まりだと思います。「外壁杉板目板押さえ張り」の弊社の定番となるはずです。

おまけに窓の下のリブの先端も、ナナメにそいでくれています。こちらは、現場の若い大工さんの提案。雨的にもデザイン的にもナイスです。

よく現場を知っている人ほどお分かりですが、やっぱり現場の大工さん職人さんは本当に重要なのです。(施工面だけじゃなく)

そこが高レベルで揃っているのは本当に弊社のありがたい所だと思います。webサイトの施工例などでは、さも設計担当の手柄のようになっておりますが、実際は滅茶苦茶大工さん、職人さんに助けてもらっているわけでございます。

これからも、大工さん職人さんと、設計デザインも含めて高め合って、長く愛着をもってお住まいいただけるお家を造ってまいります。

《そうそう。明日明後日の見学会。日曜日の朝一と夕方の二枠を除き、ほぼ一杯になりました。誠にありがとうございました》


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