大工さん職人さんってスゴイですよ。(古民家リノベーション、リノベーション、手仕事、社員大工)

今日は岸和田の古民家リノベーションの現場から。
とても立派な大きな古民家。皆様が大切にお住まいしながら引き継いできたのが分かるお家です。今回はその風情や趣を残しながら、今の生活にあった、そして性能もあげていくため、間取りからごろっと変えるリノベーション工事。
ここちよく美しくするために新しく手を入れる部分と、古い部分の趣をうまく合わせていくには弊社が最適だということでお声をおかけいただいた次第です。

100年級の古民家になりますと、途中何度もリフォームが入っていることが多いです。このお家も何回か手を入れられています。そしてその手を入れられた部分も、結構時間がたっていて、その部分も古民家の風合いがあります。
それは部分解体で、壁や天井をめくるとよく分かるのだけれど、構造を整理して一体どの部分をさわるのか、どこまでを解体するのか?ということが難しい。
いつも心がけているのは、お家が建った状態の姿にできるだけ戻すこと。家族の変遷や使い勝手の変更で、増築や壁を抜いたりしています。それはその都度のご要望で仕方ないことだし、手を入れた大工さんたちも悪気はないし、仕方なかったことなのだろうけど、柱を抜いたり、足元の木を切ったりしてしまっています。
だから、創建時の無理ない構造に戻すこと。をまずは考えるわけ。そしてその中で上手くご要望に合うように間取りを考え直していくのです。そもそも昔はご家族の人数も多いから、大体は増築部を壊して減築し、自然とそもそもの姿に戻っていくことが多いです。
こちらのお家も、


結構昔の増築で、敷地一杯までになっていたのを、
車の進入のしやすさも考え合わせて、


2mほどセットバックして、古い増築部を取り払いました。(この面がそもそもの外壁。昔の壁も外壁っぽいでしょ)
ただ、取り払うとは簡単に言うけど、くっついているものをその部分だけ丁寧に解体する解体屋さんも難しいし、続いてた屋根をそこで切って、新しく屋根を戻すのも大変。特に昔のお家は屋根形状が複雑だから、とても大変。
もちろん図面は書くし、大工さんとも綿密な現場打合せを繰り返すのだけど、


違う形状の屋根がぶつかってくるところや、隅部分を上手く綺麗に納めるのは、これは大工さんです。
いくら図面は書いても、最後は現状に合せながら無理なく美しく納めるのは、大工さんの経験と腕に頼る部分がほとんど。
昨日も現場で出来上がった屋根下地を見て、「うちの大工さんのTさんはほんま凄いな~」と感心しきりでありました。
この上に今度は瓦屋さんや左官屋さんが登場するのだけど、これまたスゴイ職人技で違和感なく納めてくれるのです。
職人技!というと、物凄い細かなものを造ったり、めっちゃ目立つ大仰な仕事も凄いとは思うけど、一見分からない、普通に違和感なく納めている所に、私は凄みを感じます。
職人さんの凄さと言うと、

途中のリフォームで足元をきられ、浮いていた柱の下にうまく基礎を打つのも上手だな~と思うし、

建物の床下が外より下がって湿気ていた所に、綺麗に土や砕石をしきつめて良好な状態にするのも、やっぱり大したものだな~と思うのです。

こちらはお家の内部でどこに補強を入れるか?弊社設計(構造担当)の福井君と最後の検討をしているところ。理想の場所に図示するのは簡単だけど、現場の状況や柱や梁の現状をしっかりみて、効果的な所に入れないとダメですからね。
そう考えますと、設計も今までの知見の集積を、ぶつけているわけで、今までの経験などを振り返ると、こちらも一朝一夕でできることではないわけですね。


現場は変わるけど、和歌山市のこちらの古民家リノベーションも、左官屋さん登場。古い壁をめくって、あたらしい漆喰をぬるための準備をしています。ここにも、たくさんの技術と経験がこめらているし、

来月棟上げ海南市のI様家の構造材を刻んでいる山本棟梁。複雑な木組み加工の仕事中。こちらも上手に仕事していますよね。
こう考えてくると、手仕事、フルオーダーの家づくりは、「効率化・誰でもできるように」とは真逆で(もちろん材料運搬や発注など効率化できる所はしていますが)、本当に「人」に頼った仕事。
考え方次第で賛否はあるわけですが、私はこういう皆に囲まれているのが、最高に楽しく幸せだし、捨て去るには惜しすぎる技術と文化を引き継いでいきたいと強く思うのです。
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