不思議なバッタ~情報誌「つくり手」より~
国の補助金も申請して、これから本格的にかかる弊社南隣のお家(四代目の大彦さん。つまり私の曾祖父が建てさせてもらった築90年オーバーの町屋)のリノベーション工事。ふと、そこにお住まいだった方の事を思い出したので、今日は以前、弊社の情報誌に載せた(一昨年です)お話を。ひとつ。
『近所のおじちゃん』って最近はあまりないのかもしれませんね。僕らがまだ小さかった昭和50年代60年代は、近所でも叱ってくれる怖いおっちゃんや、公園で遊ぶ子どもをいつも見守ってくれている?お爺さんなどがまだ居て、今とは随分違うような気がします。
近所のK様は父よりも10歳位上で、父も昔からお世話になっている方。その方のお家は曽祖父が建てさせてもらった築90年のお家。
僕も、小さい頃からとても可愛がっていただきました。夜、突然家に来て、ドライブに連れて行ってもらったりしたくらいです。そして、私が成人して弊社に帰ってきてからも、ふらっと会社に遊びに来て話をしていったり、誕生日でも何でもないのに、カバンや服を持ってきてくれたり。たくさん貰いました。とってもオシャレな方でしたから、センスのない私には着こなせないものもたくさんありましたが、今でも使わせてもらっているカバンや服もたくさんあります。本当に可愛がっていただきました
そのおじさんも、ご高齢のため、ここ2・3年は会社に遊びにくることもなく、特にこの1年は姿もお見かけすることなく、施設に入られているとお話は聞いていたのですが。
・ なぜバッタ?
お盆も明けた8月後半のある日、朝出社し自分の部屋(一番上の写真です)の窓の障子を開けると、大きくて立派なバッタが木製窓の外に張り付いていました。驚いて障子を閉めたくらい。
丁度、私の部屋を外から覗いているような感じです。道路に面した3階の窓ですから、こんな所にバッタが張り付いていたことなどなくびっくりしましたが、開けなければ入ってくることもありませんので、その後は特段気にせず仕事を。
翌日出社すると、今度は会社の玄関の前に居ます。丁度僕を待っていてくれたようです。しかし、キレイな緑色で立派で凛々しくて、なんともカッコいいのです。(私あんまり虫は好きではございません)二日続けてですから、親近感のようなものも湧くとともに「なんか良いことあるかもよ」と漠然と思っておりました。
その日、何故かこんな事を思い出しました。大学生時代、上京して初めて表参道や青山の方面に行った時のこと。町並みもオシャレですが、歩いている人もオシャレでカッコイイ。
田舎者の私は「うわ〜凄いな〜」と気圧されていたのですが、そこに60歳位の紳士が通りがかりました。フォルムも色も派手な服なのですが、物凄く馴染んでいる。完全に着こなしていて本当にカッコイイおじさんでした。
《「THE東京の人」というか、本当にオシャレで無理せず自然に都会感のでている方って、やっぱり東京や大阪にはたまに居ますよね〜》
ただ、その時、近所のKさんなら、ここを歩いていても違和感ないな、負けないなと思ったのです。
ホントになぜか?そんな事を思い出しておりました。
そして、その日の夕方、母親から「そういえばKさんお盆前に亡くなったのよ。ご家族だけでお見送りになったから近所の人も知らなかったのよ。お盆明けにご家族が挨拶にきてくれたんだけど言ってなかったっけ?」と聞かされたわけです。
不思議な力は私には全くありませんが、「あっ、あのバッタはKさんだったんや。お別れを言いに来てくれたんちゃうか。」とストンと合点がいったわけです。
そして、次の日からパタリとバッタを見なくなりました。
全ては偶然だとは思いますが、大切にしたい出来事でありました。
このように、私、皆様に可愛がっていただける星の元に生んでいただいて感謝感謝であります。これからも、その有り難さを忘れずに、一つ一つの出会いを大切に、お家づくりに励んでまいりたいと思います。
Kさんありがとうございました。あちらでもオシャレを楽しんでカッコよくいてくださいね。
な~んてお話。K様が長い間お住まいになったお家。しっかりと綺麗に直して(K様に叱られないように)まいります!
次回はまた来週。皆様良い週末を。
ホームページのリニューアルに伴い、ブログも新サイト内に統合しました。
過去のブログの記事(2020年以前)はこちらからご覧いただけます。