工房型工務店の設計の仕事
先日「設計スタッフを募集しております!」なんて投稿をいたしましたが、今日はあまり紹介することのない設計のお話を。
こだわり工務店というか、お客様のご要望をしっかりヒアリングしてフルオーダーで造っていく工務店、または既製品の使用量が少なくて現場で大工さん職人さんの手仕事で造っていく工務店、自然の木や土や石をよく使う工務店、お家の家具なども造り付けでよくつくる工務店、この中の一つだけ当てはまっている工務店というのはあまりなくて、一つが当てはまれば他も大体あてはまる所でして、こういう工務店をなんて言えば良いのか?
手仕事工務店?工房型工務店?設計事務所的工務店(アーキテクトビルダー)?呼び方は色々ありそうですが、こんな工務店の設計スタッフの仕事は設計事務所さんの仕事とほぼ同じだろうと思います。《もちろん程度の差はあるし、設計事務所にも規模や仕事の傾向など色々ありますが、普通皆様が設計事務所さんに抱くデザインが得意な設計事務所として》
設計スタッフは、上の様な平面図(間取り図)やお家の模型に加えて
室内の図面などを書き、お客様と打合せをした上で決定し、見積もりをして、工事はスタートしているわけ。ここまでくるのにも、図面を書くばかりではなく、そもそもお客様のご要望をくみ取る能力や、出来上がる空間を説明し、お客様と共に作り上げていく調整していく作業が必要で、コミュニケーション能力もとても大切。(昔、偉い建築家の先生に、センスも大切だけど、それよりコミュニケーション能力の方がもっと大切!と言われた事もありましたねぇ)
さて、この図面があればもう勝手に現場は進むのか?と言えば、そんな事はなく、これを実現させていく努力が肝要。ここにどれくらいの熱意をもつかでやっぱりお家の出来は変わってくるわけ。
弊社の特徴の一つがこういう施工図(これは枠回り詳細図)。これは1/2とか1/1のスケールでかく現場用の図面で、例えばカウンターの厚みを何ミリにするのか?なんて細部の指示を書く図面。
細部とあなどることなかれ。「神は細部に宿る」という超有名な言葉もありますし、そもそも細部を考えていく時に、全体のバランスも必然的に考えますし、耐久性や日常での使い勝手なども、高いレベルで考え合わせていけます。
図面では線一本、簡単にすっとひけば終わりですが、それを現場で大工さん職人さんが施工するにはそんな簡単じゃないわけで、またそれが何十年と毎日使われるわけですから、そこも大変。そういう所に入っていく図面であるとともに、不思議なものでそこを考えると全体的なデザインや見せ方にも意識がいくのです。
ただ、こういう図面は考える人・書く人の能力とマンパワーに頼る所が大きいわけで(もちろん会社での共通のものはあるとして)、当然手間もかかりますから、「平均したある程度の品質」を重視するメーカーさんや、そもそもそういうレベルのものは目指していない工務店は、いちいち考えるのではなく既製品を多用することとなります。既製品を取り付けていくのなら考える必要もないですし、お客様に説明するのも上手くいきますからね。
さあさあ、長くなってきましたが、
なら施工図造って現場に渡せばそれで終わりか?となるとそうでもなく、
そもそも、施工図を書く際に大工さんや職人さんに相談したり、教えてもらうことが多いのですが(ここは弊社は社内に大工さんが居るのでとてもスムーズ)、施工図通りに出来ているのか?の現場でのチェックも必要だし、施工図に対しての現場からの意見やよい提案もあります。だから、現場に相繁く通い大工さん達との相談や打合せも大切。
こんな天井を折る位置や具合は図面で考えてはいても、やっぱり現場で実際見ながら大工さんたちと相談しながら決めたいし、
新たな造り付け家具の施工図を書きたい時などは、現場に行って考えて、寸法をとってきて会社の設計室でまた頭を捻ってなんて工程をふみます。だから、弊社の現場写真はこんな寸法をとったり、細部のアップの写真が結構多いのです。(現場写真は最後にお客様に全てデータでお渡ししているのですが、「この写真何なの?」って思ってる方多いんじゃないでしょうか)
さらに、現場ではお客様との打合せも大切。壁や床の色や仕上げ材料を決めていくのはもちろん、収納の棚の具合、造り付け家具の変更など、多岐にわたります。そして、何より出来ていく現場をお客様に体感していただいてお楽しみいただきたいですし。
他にも、お客様がお買いになる予定の家具を見に行って、全体的なインテリアのバランスを考えたり、
お使いになる予定のチェアと、造り付けのテーブルが合うか?などを考える確認するために家具屋さんに足を運んだり。
まだまだ挙げだせばきりがございませんが、それはなかなかなものです。
これは「面倒くさい」や「嫌々で」できる仕事ではなくて、やっぱり好きでなければ難しいですね。ただ、初めから終わりまでフルオーダーのものを仕上げていくというのは、お家に限らず大変なものだと思いますし、だからこその大きな喜びがあるのだと思います。
もちろん分業制で省力化!の方が優れている部分も大きいですし、それが向く家づくりもあります。(というか、今の家づくりはほとんどこちら)また、生産性の向上は絶対必要ですし、DXや手間の削減という所もこれからの働き方を考えると必須だろうと思います。
けれど、やっぱり家づくり・ものづくりの根幹の楽しさ(だからこその大変さもありますが)は失いたくないし、そこに価値を見出してくれるお客様も働く方も絶対になくならないと思います。
はい。やっぱり段々ととりとめもなくなってまいりましたので、この辺で。ではまた次回。
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