野上のブログ

棟上げですよ。

前回は一月前の棟上げの様子を少しご紹介しましたが、今回は今週末の和歌山県有田郡某所N様家棟上げに向けてのご紹介。

上の写真は、先月に奈良の吉野から搬入していただいた吉野桧と吉野杉の構造材。いつもお付き合いいただいております材木屋さんには良材を揃えていただきましてありがとうございます。また、ウッドショックが続く中、納期も普段より少しかかる位でご用意いただき助かります。(ただ、やっぱり値段は上がりましたね。もちろん安価な輸入材の値上がりに比べると全然ましだと思いますが、それも3~4割程度は上がったでしょうか。)

杢目も細かく詰まっていて、赤身がはって(赤い部分、木の中心部に近い、腐りにくくて強い良い部分。トロみたいなものですね)、色艶もよく、吉野材の良材です。

このままならただの角材。これを柱や梁にするために、木組み加工をしていかねばなりません。その木組み加工を考え指示を実際の角材に書いていくのが「墨付け」という作業。

これは、ここに「このカタチの穴を掘って」という印。Bはボルト。深さや他にも色々な情報はあって、それはいつものやり方とか、他のコミュニケーションの方法があるのでここに全てを描くわけではないですが。

そして、その「墨付け」の元にしているのが、この「カンバ板」を呼ばれるもの。ただ単純な線だけの図面のようですが、ここにはかなりの情報量があって、基本的に大工棟梁はこの一枚で木の家の複雑な骨組みを完成させてしまいます。

弊社の設計で構造計算の上できた構造図を元にというか、大工棟梁がカンバ板を描くというか、「大工さんがカンバ板をつくり→それを元に設計で構造計算をして地震の際の力の加わり方をチェックし修正→大工さんが再度考え直す」というルートをたどります。

あくまでも構造計算が最優先で、そのチェックでダメなものを変えるようなことはしませんが、大工さんの現場の感覚からは、構造計算以上に強くしたい所もあって、そこを他の設計条件(見え方など)と考え合わせて納得いくまで設計と大工さんで打合せを繰り返します。

《大工さんが現場仕事終わった夜などに、弊社の設計室で、設計と大工さんが遅くまで図面を前に話こんでいる風景があります。これは、自社に設計と社員大工が居る弊社のようなものづくり系の特殊な工務店にしかない、なかなか見ない景色だと思います》

そして、その墨付け通りに削られて(これを「刻み=きざみ」と呼びます。弊社は大工さんが手で行うから「手刻み」)「梁」になります。

現場では、

基礎屋さんが一生懸命作業をしてくれまして、

良い基礎が出来ました。あとは棟上げを待つのみです。

複雑な木組み加工を施された梁たち。大工さんたちに綺麗に削られて、これだけで十分絵になりますね~。組まれてしまうと(という言い方もおかしいですが)、木組み加工は見れなくなってしまうので、今たっぷり見ておきましょう。

それでは今日はこの辺で。


ホームページのリニューアルに伴い、ブログも新サイト内に統合しました。

過去のブログの記事(2020年以前)はこちらからご覧いただけます。

New