御簾垣(みすがき)
年末年始と一杯Blogもお休みしておりましたので、ちょっと頑張って連続でまいります。
上は年末させていただいた塀工事。お引渡ししてしばらく経ったお客様家からのご依頼です。実は、昨年初め位からご相談をうけていたのですが、材料やどういうやり方で?なんて検討している内に時間が経って。
と、申しますのも、こういう竹の仕事がなかなか今やり辛くなっています。
これは「御簾垣=みすがき」と呼ばれる伝統的な竹の塀の一種。他にも建仁寺垣なども有名です。こういう竹の塀はとても風情があって、風流で素敵。京都のお寺のお庭などにも多いですし、お茶室のお庭や、日本庭園などにも欠かせない。日本人が古来より好むものでDNAに刷り込まれている?のかもしれませんね。
ただ、最近はほとんどが竹に模した樹脂製品。ほとんどそうです。そりゃ有名なお寺や庭園はまだまだ本物の竹だと思うけど、一般のお家では相当こだわっている所でないと使っていないと思います。
というのも、やっぱり「もち」の問題があって、竹は何十年ともつものではないから。ただ、樹脂のテカテカした(経年美のない)竹を模したものは、私は嫌らしくて嫌いなのであまり使いたくない。ということで、最近竹垣とはしばらくご無沙汰でありました(杉板の塀や左官塗の塀、生垣などがよく使う塀です)
しかし、デメリットは分かった上で「そこはやっぱり本物の竹でいきたい!」とおっしゃってくださる有難いお客様がいらっしゃったわけ。色々と検討していくにつれ、まず竹がない。昔竹を入れてくれていた建材屋さんに依頼すると「樹脂の竹で良いですか?」と。まぁそこは予想しておりましたので、次は和室の竹材などでお世話になっている京都の竹材メーカーさんに。
なんとここでも「樹脂の使いませんか?」と。
びっくりしました。もちろん、依頼すれば探して用意はしてくれると思いますが、あきらかに面倒くさそうで気乗りしない感じ。ここまで進んでいるのかと。愕然としました。
結局、造園屋さん経由で竹を仕入れてもらい、施工したわけですが、なんか日本の文化も首の皮一枚でたもっているような所がでてきておりますね。そしてそれはあちらこちらで起こっているのだと思います。
こちらは、先日ご紹介したと思いますが、和歌山市太田の建て替えのお家で使った竹材。建て替え前のお家にあった竹材を外して再利用しています。こちらを施工したのは弊社の20代の大工さん。となると、弊社も首の皮の一部とも言えますね。
もちろん、職人のロマンばかりでは話になりませんから、生産性などもしっかり考えていかねばならないわけで、そんなことをお正月中に一生懸命考えておりました。ただ、やっぱり手仕事の良さは残していきたいなと思います。そこが日本の文化・魅力でありますから。難しい道ですが、色々工夫をしてしっかりと首の皮を厚くしていきたいと思います。
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