野上のブログ

基礎~棟上げまで。

いよいよ猛暑が続く季節になりました。こうなると現場の大工さん職人さんたちは大変。現場で一生懸命働いていてくれている姿を見ると頭が下がります。先週末は和歌山市秋月のK様家の棟上げでした。強烈な日差しの中、大工さんの頑張りと、お客様のお心遣いもありまして、無事棟上げも完了して誠にありがとうございます。

ちょっと今日は、工事着工からの工事の流れを簡単にご紹介しますね。(今日は写真たっぷりです)

神様に工事のお許しを得る「地鎮祭=じちんさい」を神主様に執り行ってもらったあと(行なわないこともございます)、地面に建物の位置を出してから基礎工事です。基礎工事は、まず地面を「掘って」(地盤が弱いための「杭打ち」工事が必要な場合はこの前に行います)

そこに砕石を入れ地盤を固めるとともに、その上に正確に建物の位置を地面に書く(なんか黒い線見えません?これが建物の壁の中心線)ためのコンクリートを打ちます。そして建物の下は土中の湿気を防ぐためのシートを施工して

次は鉄筋を組んでいきます。鉄筋は構造計算の上、必要な太さやピッチ、継ぐ部分の重なり長さ(他もろもろ)などが決まるから、

組まれた後にチェックをします。もちろん数字のチェックは必要だけど、

やっぱり、全体的に見て綺麗に丁寧に組まれていると、問題ないですね~。

次はコンクリートを流し込む枠=型枠を作っていきます。黄色い糸が張られているのが分かると思いますが、いろいろな部分を測量して、

基礎に埋める必要のある構造用金物(耐震金物)なども所定の位置にきっちりとセットして固定。コンクリートを打つ際に動いてしまうとよくないですからね。型枠も流し込むコンクリートの圧に負けないように、金具でしっかりと固定いたします。

ここでプロは気づきますが、この状態で普通内側の型枠はありません。(写真でいうと、上と左側の型枠)この説明は難しいのでここでは省いてまた別の機会にと思いますが、「一体打ちべた基礎」とか「浮き型枠」で検索していただくと詳しい説明があります(こちのBlogでも以前「一体打ち」か「一発打ち」で記事にしております)。

このように土間にコンクリートが打たれていない状態で立ち上がり(=垂直部分)のコンクリートが流し込まれることは普通ないわけで、この風景はあまり住宅では見かけない一体打ち特有のものであります。一体打ちは対シロアリにも対水にも優れている基礎の工法で、弊社はこだわってやっております。

正面のホースからコンクリートが流し込まれる(ポンプ車)わけですが、ただ流せばよいわけでもなく、色々と作業も注意することもありますから、何人も職人さんがついてコンクリートは打たれていきます。

コンクリートが打たれた後、適切な乾燥機関をとって、型枠を外すとこんな綺麗なコンクリートが基礎が完成されました。はい、これで基礎工事は終了でありまして、天気もありますが着工からひと月弱で完成いたします。

一方、作業場では

吉野桧や吉野杉、米ヒバの厳選され、乾燥養生された角材を、柱や梁にするために、棟梁格の大工さん(こちらのお家は坂本君)が【墨付け】を行います。「どこにどのような穴を掘る、どこで切る、端をこんな凸凹加工をする」などを実際の角材に指示を書いていく。これが墨付け。今や珍しくなってしまった大工の伝統技術であります。

もちろん設計の構造計算と合わせて検討してからですが、どこにどの位の大きさ長さの木を使うか?から始まって、木をみて、それをどこに使うか、どの向きにして使うかなどなど、木組みの構造を総合的に頭の中に描かなければ出来ませんし、木を見る能力、知恵経験も問われる、棟梁の一つの技です。

あとは、その指示通りに大工さんたちが手で加工していくわけですが(この作業を「刻み」と言います。右側の木は少し加工されていますね)、その模様はまた別の機会に紹介するとして、

見える柱や梁などは節の少ない材を選んで、それにカンナをかけて

ぴかぴかに仕上げます。(全てが節がないというわけではありません)こういうのも棟上げ前の大切な作業の一つ。

こういう墨付け・刻み作業に、一月半程度かかります(吉野への木の発注から考えると2月以上)

現場では基礎。作業場では墨付け刻みを終えると、ようやく「棟上げ」(=上棟も同じ意味です)を迎えます。こちらもまた別の機会にじっくりとご説明いたしますが、クレーン車にも手伝ってもらって、

大工さんたちが一本一本丁寧に組み上げていきます。一日でほぼお家の木組みの骨格は出来上がります。

大体の流れはご理解いただけたましたか?お盆明けには太田のお家も棟上げです。またそちらでもご紹介いたします。ではではまた次回。


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