野上のブログ

堺町家リノベーション③

さて、今回はいよいよリビングです。上の写真をご覧いただくと分かるように、以前のお家の建具なども再利用しながら風情残しながらのリノベーション。

これがリノベーション前。このように畳の部屋が続いていくお家でありました。そのままの間取りで壁や床を直すだけなら簡単なのですが、明るく広く使いやすい間取りに改造していますし、そこに耐震のことなども加味すると、壁などを増やす必要もあって、それに前のお家の風情を残していくとなると、設計的にも、施工的にも(こっちの方が断然)非常に難易度があがります。

この方角でも、右奥の壁も左側の壁も間取り変更&耐震のためにいれた壁

なんといってもこのお家の気持ちよさの中心は、

この縁側です。縁側の木の窓の風情も素晴らしかったし、とっても魅力的な空間になるのは分かりましたので(途中の増築で縁側は増築部に挟まれたローカになっていました)、ここを中心にお家を造る&以前の魅力を取り戻すことが、お客様のご要望に一番叶うと思ったわけ。

ただ、木の窓はとても良いものなのですが薄いガラスが一枚入っているだけ。断熱的にはかなり辛い。けれどサッシュに変えると縁側の魅力はなくなるし、何よりこの建具がかなり貴重なので、断熱能力的にはまだ足りないけれど、真空の断熱ガラスで何とか断熱UP。(既存の木の窓には普通の2重の断熱ガラスは厚みがありすぎて入らないので)

そして、この縁側は回っておりまして、こちら側は何とか既存の床板を残せました。ヘリンボーンの面白い床板。古いお家でこれはかなり珍しいのでは?素晴らしいでしょ。(先程の写真の面は床板の腐りも激しく利用は不可能でした。それから、断熱は裏側からあてています)

こうして見るとよく分かりますが、ダイニングとリビングが縁側でつなっています。

90°反対のこちら側からは元気なお子様たちにも写真に入っていただきました。リビングとダイニング、そして縁側へ広がっていく空間の面白さが感じていただけると思います。

ダイニング側からもう一枚。左手がキッチン。右手がデッキ、そしてお庭とつながっていきます。

リビングからキッチンを向くとこう。所々に収納をとっています。

最後に、

裏のお庭からの外観。

こうして完成写真を紹介してきても、よく出来上がったな〜と感慨深いものがあります。それだけ難しい工事でした。

しかし、お客様に可愛がっていただき、そして大変なご協力を賜り、またご近所の皆様の温かいご協力のおかげで、無事完成いたしました。家づくりとは【図面と材料、大工さん職人さん】だけではできないものです。一番はお客様だし、またお家が建つということは街やご近所様のご理解やご協力を欠かせません。

そんな当たり前のことを改めて強く思い起こさせていただくお仕事でした。このお家での、お客様ご家族の楽しく幸せな暮らしがずっと続くこと、また街の風景として、何十年と刻まれていくことに思いをはせ、とても満ち足りた嬉しい気持ちでご紹介を終わらさせていただきます。

K様、誠にありがとうございました。これからも何卒よろしくお願い申し上げます。


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