自然と共にのびのびと暮らす職住一体のお家【 和歌山市】2025年

和歌山市郊外、伊太祁曾神社近くの緑が広がる恵まれた敷地にて、40代ご夫婦と小学生のお子様1人がのびのびと暮らすための約30坪の平屋のお住まいです。
農業を営むため、ご主人のご親戚が居られる和歌山に移住されてきたご家族。ご主人の従弟がどちらかの設計事務所にお勤めで「和歌山市で家を建てるなら大彦に頼め!」とのありがたいアドバイスをいただいたそうで(ありがとうございます)、設計から工事へとトントン拍子で話が進んでいきました。難しい農業地区の制限もありましたが、ご主人の粘り強い交渉と近隣の皆様、お役所の皆様にもご協力いただいて、無事クリアで工事はスタートいたしました。

「自分たちが手塩にかけて育てている農地を見ながらゆったりと暮らしたい」とのご要望が、優しく柔らかなご夫妻と、のびのびと育ってとても可愛らしい子供さんの印象とぴったりで、順調にプランは進みました。

四方に恵まれた自然が広がる大らかな環境の中、自然とお家も外に大きく開いたものとなってきます。リビングダイニングにはL型に大きく外に開く木製窓を設けました。ただ、そういう環境だからこそのご近隣の皆様からのある程度のプライバシーの確保(例えばリビングにつながる和室に寝転がっている時などは外からは見えない、キッチンに立った時も外から見え辛くなど)にも十分気を付けました。


キッチンから脱衣へ抜けられるように、そしてそこから玄関ホールと洗面コーナーへとつながり、炊事洗濯などの家事動線が便利になるように工夫していること、玄関ホール~リビング~キッチン~脱衣~玄関ホールへと回遊動線が確保されていることは当然として、洗面前の青いタイルや玄関の小さな飾り棚など奥様の遊び心がお家全体を楽しくしてくれています。


またこのお家の大きな特徴は、プロのレーサーでもあられるご主人の作業場。たくさんのロードバイクと用具や工具を収納し、また作業をするスペースも必要でした。当然外から直接入るアクセスも必要で、お家のどこに配置するのか?リビングダイニングとの関係性など、しっかりとお客様と詰めていきました。


外観は、周囲の自然に上手くとけこむようにシンプルな形を考えました。お家の空間がそのまま形になるように。ただ、前面道路から敷地は少し上がっているため、見上げる格好となってしまいますので、その辺は各所の高さと窓配置など、プロポーションに十分気をつけてデザインしました。

どんなお家でも予算はあって、実現したいこととどのように折り合いをつけていくのか?が一つの課題となります。予算内に納めるためにやりたいことを全てグレードダウンしていくなら家づくりの楽しさがなくなりますし、だからといって予算を大きくオーバーしていくのもダメ。だから、リビングダイニング空間にはしっかりと予算をかけて他の部分で我慢できる所は思い切ってとお勧めしますが、その点K様ご家族はとても上手で、こちらのご提案もしっかり尊重していただきながら、思い切りの良さを発揮してくださいました。
それが逆に無駄を省き、シンプルで美しくとても気持ちの良いものへとつながったのだと思います。いつも優しく柔らかなK様ご家族そのもののようなお家に仕上がり、また一つまちの風景をつくれたと思います。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
(設計担当 野上・岡田 大工 山本・高石)