野上のブログ

真っすぐな所はまっすぐに。(梁の見える天井、板張り天井、小上がり和室、ニッチ)

上はもうすぐ完成紀の川市のF様家のお家。

現場が進むと、自分のお気に入りのアングルってのは出来てくるものでして、そりゃ設計して図面書いてるわけだから、初めから想像はしていますが、それを超えてくる所、思った以上に魅力的な所が出てくるのですよ。

上のアングルで言えば、「柱がパシッとまっすぐ立って、そこに壁が水平にピッタリ納まっている」何というか端正な佇まいな感が私のお気に入りなのであります。

どうも私、こういう真っすぐピタッと納まっている所を好む傾向があるようです。自分自身はだらしないアバウトな人間で、よく父にも叱られましたが、その反動なのでしょうかねぇ。ピタッとまっすぐ納まっていると、とても気持ち良いでしょ。

だから、

こんな風に梁と天井、壁と柱のまっすぐな納まり方も好きだし、

小上がり和室下の抽斗がピタッと納まっているも良い。

ニッチ廻りの壁が真っすぐキッチリ掘りこまれているのもよい。

ただ、こういうのは、図面で真っすぐ綺麗に書くのは簡単なんです。特に今はPCが書いてくれますから、当たり前です。

けど、これを施工するのは難しい。

昔尊敬する建築家が「図面でまっすぐの線をひくのは簡単だけど、まっすぐの線通りに施工するのはとても難しい。だから設計者は一本の線を書くのも必死になりなさい!」とおっしゃっておりましたが、その通りなんですよ。

また、実際壁や床に水平器などをあてると真っすぐでも、全体的に見ると、どうもイマイチ。端正な感じはしないって場合もあります。これは私、設計事務所の修業時代に色々な建築会社さん工務店さんと仕事してきましたからよく分かっておるのです。(理由は大体分かっているのですが、とても簡単に言葉では説明できませんのでまた今度)

その点、口幅ったいですが、うちの大工さん職人さんたちの仕事はまっすぐで気持ち良い。もちろん、上には上がおると思いますが、色々な建物や現場を見てきて30年近くになりますと、その辺は良く分かります。

手刻み同好会を初めとして、全国の有名な実力のある工務店さん大工さんの仕事を見せてもらっても、同じ建築家の設計でも差はあるし、端正で色気を感じさせるよな仕事から、評判は高いけど、実際見てがっかりということもあります。

上手く表現はできませんが、同じような建物でも施工の差はあって、それが表面的にでてくる水平さ垂直さなどとはまた違う、もっと根本の所。だから、素晴らしい仕事をする建築家はいつも施工する建築会社が同じとか、出来るだけよい工務店に建てて欲しいと探したりするのですよ。

あぁ、また長くなってしまいました。

最後に、こちらももうすぐ完成のお家の、まっすぐな所をご覧いただいてお楽しみください。

はい。ではまた来週。

本格的に暑い日が続いてきますが、お体ご自愛くださいませ。


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