情報誌「つくり手」から~階段板を探す~(手刻み階段、階段手仕事、無垢の階段板)
今回は久々に弊社が二月に一度お客様にお届けしている情報誌「つくり手」から。
なんと、2018年、6年前のコラムです。写真に写っている皆も私も若い!(髪の毛も黒いですからね)当然、この時はまだ入社していない(学生さんだった)従業員さんも居るけど、やっている事はいつも変わりません。真摯によりよい家づくりに取り組んでいるつもりです。
では。(時系列も6年前当時のものですのでご注意を)
・良い材料が少なくなってきた?
弊社が家づくりに使用する厳選された無垢材の多くは、先代が選定してそしてルートを造ったものです。
もちろん、先代も先々代以前のルートや教えを参考にしての話ですが「杉なら○○材木、桧なら△△製材、ヒバなら□□」と樹種毎に材木屋さんが違う、工務店としては非常に珍しいこだわった材料調達をしています。
しかし、世間一般では手仕事の家づくりが激減している中、昔は当たり前にあった手仕事用の素晴らしい自然素材を揃えることが、材料屋さんや山を管理する人達が少なくなって、難しくなってきています。これは、弊社の家づくりにとっても切実な問題でもありますし、また「より良く」という観点からも自然素材の様々な検討や視察を重ねています。
先日も階段板を注文したところ、その数は揃えられないとの返事。
弊社では毎日上り下りする階段板は、足触りからもしっかりとした踏み心地感からも、「マガシロ」という樹種の無垢板を使っています。常に2・3棟分位のストックはもっていますが、その追加が頼めない。
まだ、幸いなことに、時間をかければ揃うようなので、今すぐには困りませんが、近い将来もう揃えられない可能性もありますから、代替材になりそうな無垢材料を何件かの材木屋さんに頼んで持ってきてもらいました。
中には「メンピサン」なんてインドネシアの変わった名前の樹種もありましたが、色々な樹種を会議の最中に大工さんと設計で検討です。
足で踏みしめるわけですから、柔らかすぎるのも硬すぎるのも困ります。大工さんの加工性の話もありますし、あとで大きく狂ってくる樹種も、安定的に納入いただけない樹種も困ります。性能的にも工事性では合格でも、美しくない樹種も使いたくはありません。
年輪の詰み方や色艶も非常に重要なポイントです。ですから『マガシロがないならよく使っている吉野桧・杉でいいじゃない』と簡単に決められるものではなく、なかなかOKが出るものはありません。
・木は面白い
とくれば、「大変ですね〜」なんて話になるのですが、実は結構楽しかったりします。
色々な樹種を見れば見るほど、木の凄さ・奥深さ・面白さがドンドン感じられてきますし、それは実際木を見学に行ったりすると、また更に楽しいものです。
昔、材木(銘木)見学に連れて行ってもらった際、厳格な父親が非常に楽しそうな姿が印象的でした。また、大ベテランの棟梁が子どもの様に嬉々として、あちこちに木を探しに行って迷子になってしまったり、と。けれど、その気持がとても分かるようになってきました。
もし、ご興味のある方がいらっしゃればお声をかけてください。お家を建てる際には是非材木の見学にまいりましょう。
はい。こんなコラムでありました。結局、階段板はなんとか変えずにマガシロを使えています。ただ、別の樹種も用意して、もしもの時に備えています。
どんな木を使っているの?など気になることがありましたら、いつでもご質問くださいね。
ではまた来週でございます。