野上のブログ

「縁をきる」が勝負~情報誌「つくり手」より~

一気に寒くなって、そういえば先週の土曜日の棟上げの日なんか半袖だったのに、今日は暖かいフリースみたいなのを着ております。夏~晩秋へ位の変化で、気を付けないと体調崩しますね~。

さて、今日は久々の情報誌より。今回は2017年2月の「つくり手」11号より。では早速


結構刺激的なタイトルですが、あくまでも建築のお話。

さて、弊社の新しい工房ですが、ようやく前の駐車スペースも仕上がってほぼ完成いたしました(2017年のお話)。車で前を通る際など、ご注目いただいていた方もいらっしゃったのではないでしょうか。ここで、最後に動かした大きなツクバイ(4代目大彦さんが建てさせていただいたお家にあったものです)とその廻りの部分のこだわりなどを一つ。

建築では材料と材料が切り替わる所を「縁をきる」と言います。そこをできるだけすっきりと、野暮ったくなく仕上げると品良く綺麗に仕上がると言われ、美しい建物は例外なくそこに並々ならぬ力が注がれています。

水盤の縁石の「きわ」の処理が綺麗で、まるで水がそのまま壁になっているような。
砂利と下草の縁をきるのに薄い鉄の板で目立たなく

上の2枚は、どちらも有名な美術館ですが、さり気なく・美しく「縁」がきられています。こういう所を建物見学の際に一生懸命見てきて、「一体どんな材料を使ってどういう施工しているのか」と考え、頭の中の引出しにいれておくわけです。

そして、いざ同じ様な場面に出会った時に、少し形を変えることはあるけれど、要はマネをするわけです。「マネ」と言えば聞こえは悪いですが、建築や職人の世界は「ぬすむ」世界。いつの時代の高名な建築家も腕の立つ職人も、先人の仕事に感銘と刺激を受け、どんどん「マネ」をしてきたのですね。

さて、弊社の工房の話に戻って、前の土間は石張りや綺麗な左官仕上げが美しいけれど、大きな車も停めるし作業や倉庫の機能から考えても、やはりコンクリートが使いやすい。でもそれだけでも少し潤いが足らないし、町並みにも寂しい。だから何とか許せる範囲で初めの写真のようにツクバイと那智黒の砂利の空間を造ろうと考えたわけです。

そして、はいこの通り。薄い金属のバーを特注で造り、砂利部分と道をすっきりと見切るとともに、砂利が道にちらばらないようにしていますが、これはまさしく先程の砂利と下草の縁をきっているそのもの。

さらに、実は、そもそも「那智黒の砂利の中に大きな石を置く」というアイデアがすでに青山の根津美術館のものなのですね。

凡才はせっせと勉強&マネをして少しでもお家を品よく見せられるように精進であります。


はい。如何でしたでしょうか?このスペースも、4年経ってまた色々と変わっております。普段は車が廻りに置かれていますから、あまり分かりませんが、弊社にお越しになった際にはご注目くださいませ。


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